このブログについて part6

part5の続きです。

「私は物語を創りたいんです。
私が絵を描いているのは、絵が好きだからというより、物語を表現するためです。
文章ではなくて絵を描くのは、文章では表せない、例えば表情一つで表す感情などがあるからです」
何人かにそう話したことがあります。

私は、伝えたいことをどういうシチュエーションなら、より強く伝えることができるのかという物語を考え、
考えた物語を表現するために「漫画」という手段をとっていました。

それは「漫画」という表現方法が、私が伝えたいことを一番よく表せると思っていたからです。

ところが漫画のアシスタントとなった私に衝撃の一瞬が訪れます。

プロの漫画家さんと一緒に仕事をするようになった私は気づいてしまったのです。
「私はこの世界で勝負できる人間ではない」

プロの漫画家さんたちは「絵を描く」ことのプロでした。
絵に対する気持ちが、私とは全く違うと気づきました。

絵を描くのは好きだけど……、くらいの私が、プロの世界でやっていけると思うのは間違っている――

一旦、気づいてしまった自分の中にあった真実を消すことはできませんでした。

私は、その時以来、それまで毎日握っていたペンを握ることをやめてしまいました。

その世界で勝負できないなら、漫画を描き続ける意味はなかったからです。

周りの人たちは私が、プロの世界をのぞいてみたら厳しかったので挫けた、と思ったかもしれません。

しかし大きなショックを受けたのは私自身でした。

それまでの私は漫画家になるということだけが目標でした。漫画を描く=創作をする、というのは私の軸でした。

何を見ても何を感じても、
「これを伝えたい、表現したい。そのためにはどんな物語がいいだろう」
と常に考えていました。

漫画を描いて創作活動をしていくことは、私の存在を支えていると言えるほど重要なことでした。

創作手段を失った私は、やじろべえの軸を失ったような状態になってしまいました。

何を見ても何を感じても私にとっては無意味でした。風景は色を失いました。

自分が何を目指したらいいのか、何をやったらいいのか、わからなくなり途方に暮れました。

立ち上がる気力も失うほどでした。

信じて進んできた漫画家への道。

それが間違いだったと気づいてしまいましたが、そこで落ち込んで足を止めているわけにはいきませんでした。

自分の人生を川の流れに例えるなら、そこで流れを止めて、前に進む力を失い、濁った水になってしまうのは嫌でした。

何か自分が出来ることをしていかなければいけない、と思いました。

アシスタントの仕事も定期的にあるわけではなく、いきなり呼び出されるのでスケジュールも組めず、収入も学生アルバイトをしていた時より低くなり、二十歳も過ぎて学生でもなく、年金の請求もくるようになっていた私は、自分の進むべき道を必死に考えました。

絵を描くというより、物語を創ることをしていきたい、
ということを、アシスタントを通して知り合ったある漫画家さんに話したところ、
「漫画の原作も募集している出版社もあるから、それに応募してみたら?」
とアドバイスを受けました。

文章で物語を書き始めたものの、今までひたすら漫画を描いていたことからの切り替えがうまくできず、
「これを書き終えたからって、採用されるとは限らないし」
と思ってしまい、途中まで書いたところでやめてしまいました。

漫画家になるという目標がなくなったのなら、十分な収入も得られないアシスタントを続けていく意味も、就職しないという理由も無くなりました。

悩みに悩んだ私は、
「就職しよう」
と決意しました。

就活を始め、出版社での就職を決めました。

「就職をしたのでアシスタントを辞める」
ということを漫画家の先生に告げると、自分で思っていたより大騒ぎになってしまいました。

アシスタントの先輩にも呆れられたように記憶しています。

最初から自分の気持ちと先方の気持ちの入れ方に違和感はありましたが、私は思った以上に期待されていたようでした。

その期待を裏切ったのはとても失礼で自分勝手な行為だったと思います。

でも誰にも理解してもらえなくても、誤解を受けても、
「漫画家になるという目標がなくなったのなら就職する」
は悩んだ末に出した結論でした。決して楽な方向へ逃げたわけではありませんでした。

漫画家にならないのなら、短大に通っていればよかったのではないか、
漫画家にならないのなら、アシスタントの仕事を受けるべきではなかったのではないか、
と思われるかもしれませんが、
「自分は漫画家の世界で勝負できる人間ではない」
というのは、アシスタントをしなかったら気付けなかったことでした。

創作という軸を失い、腑抜けになったような私の会社員生活がスタートしました。

しかしこの後、再び軸を取り戻す瞬間が訪れることになります。

またつづく。

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