看護師 Cちゃん

今回は学生時代からの友達、看護師のCちゃんへのインタビューです。
Cちゃんは二児の母親、現在、体調を崩し、休業中です。
友達同士なので、お互いに敬語はナシです。

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家に看護師が2人いれば結構ラクかなって思って。

――看護師になろうと思ったきっかけについて。

Cちゃん(以下、C):初めは理学療法士(リハビリの運動機能の専門)になりたいと思ったの。でも学校が遠くて、他に医療系……って思って、姉が看護師だったから、話を聞いていて、看護師がいいかなって思った。

――高校のときから決めてたよね。

C:医療系は決まってたね。でも職業をどうするかっていうのは最後まで考えてた。

――人を助ける医療系がいいって、思ってたんだ?

C:母親が身体が弱くて、しょっちゅう入院してて。姉もそうだから、家に看護師が2人いれば結構ラクかなって思って。

――看護師になった、メリット、デメリットは?

C:デメリットは、自分の身体がボロボロ。

――激務だもんね。

C:私は仕事を終えるのが早いほうだけど、それでも一時間サービス残業は当たり前みたいな。
メリットは看護師は全科まわって勉強してるから、なんとなく全部の病気がわかる。
誰かが病気になって聞かれたときにも、専門じゃないから、断言は出来ないけど、
「こうなんじゃないかな、○○科に行けば?」
くらいまでの判断は出来る。だから家族は割りと安心。

――失敗談について。

C:子供のオタフク(風邪)がうつっちゃったことかな。

――オタフクやったことなかったの?

C:私、風疹しかやってないの。水疱瘡、麻疹、オタフクってやってなくて、就職のときに検査があるのよ。小児科だったから。
そしたら全部、抗体価(例えば麻疹にかかると身体の中に抗体ができる、その量のこと)があがってて。かかったけど、発病してなかったの。
小さい頃にやっちゃったほうがいいって、かかった友達のうちに遊びに行くんだけど、一向にうつらないで、そのままきちゃって、そしたら検査してみたら、全部抗体はあるの。
オタフクも抗体価はあがってたんだけど、子供がなったら……、オタフクって、こっち側がなったら反対側もなるみたいなのってあるじゃない? 軽かったから、抗体価が低かったみたい。で、うつっちゃって、でも普通のオタフクよりもずっと症状が軽いから、わからなかったの。
それで、“なんか痛い”って思って、「あ、私かかってる」って。
で、治って(職場に)出て行ったら、みんな感染隔離。

――え? 大人たちが?

C:(患者さんの)子供たちが。みんな私と関わってるから、予防薬飲まされて。

――小児科だっけ。小児科希望だったの?

C:うん、今は違うけど。今は大人のリハビリなんだけど、脳梗塞とか交通事故、脳腫瘍とかのリハビリ。

――じゃあ、最初に希望してた仕事(理学療法士)に近いんだね。

C:近いね。

夜中に患者さんが「犬の散歩に行く」って言うの。

――印象的な体験談について。

C:夜中に患者さんが「犬の散歩に行く」って言うの。

――え? 正気で?

C:まあ、認知は下がっちゃってるんだけど……、だからちょっとズレてる。いないんだから、そこに犬は。
だけど急に行くって言うから、
「今、夜中だから」
って言っても、たぶんダメなんだろうなって思って、
「じゃあ、行こうか」
って言って、犬いないんだけど、車椅子に乗せて、
「ちょっと散歩行ってくる」
って言って、夜の外来を車椅子でぐるっと一周回って、帰って、
「散歩行ったから、もう眠れる?」
って聞いたら、
「眠れるー」
って。

――それで、犬の散歩したー、よかったって気になるんだ。

C:その患者さん、(脳梗塞で)倒れたのが犬の散歩の帰りで。

――実際に犬がいるんだ。

C:散歩して帰ってきたら、家の前で倒れちゃって、(家の)雨戸も閉まっちゃってて、誰も気付いてくれなくて、犬が吠えてくれたんだって。
犬が吠えたから家族が気がついて、いつもと違うと思って出てきたら倒れてて。
それじゃあ、(犬は)大事だよねって。

――そうだね、欠かさずに散歩につれていってあげなくちゃ、なんだね。

C:よく家族が日曜日に犬をつれて外まで来てて、車椅子で行って、庭で会ってる。

――(犬は)中には入れないから、外で。

C:そう。(病室に、犬の)写真が貼ってあるの。あとTシャツに犬の写真がプリントされてるの。
「この犬なの?」
って聞いたら、
「そう」
って。

頑張ってるときって、あんまり自覚がないんだよね。

――心がけていることについて。

C:健康かな。健康じゃなくなっちゃったけど。

――あまりにも頑張りすぎなんだよ。完全主義者だもんね。

C:もうダメだね。

――なにが? 完全主義者が?

C:というか、いい加減、諦めないと。

――手を抜くことをやらないと?

C:でも、抜けないんだけど結局。
ただ、「今日は出来ない」って。

――出来ないことは言わないと。

C:そう、今日はやらない、明日!って。

――気持ちがあっても、身体に出てきちゃうもんね。身体が、もうダメですって、ね。あんまり頑張りすぎるとね。

C:でも、頑張ってるときって、あんまり自覚がないんだよね。なんでこんなに働いてるんだろうって、ふっと思うんだけど、必死になって働いてるときはあんまりそんな感覚がなくて、当たり前、みたいな。
当たり前だと思ってるんだけど、実はそれがすごいストレスだったりとか。
あと「出来ません」って言えない。

――仕事柄もあるのかな。

C:家族にもそうだけど、子供にも、なにかしといてって言われると、
「忙しいから出来ない」
って言えないの。未だに。
私が具合が悪いのわかってるから、子供たちはだんだんわかってきて、
「お母さん、これ、出来る?」って。(笑) 「無理」って。

「働いてるから」っていう理由が今は通らないんだよね。みんな働いてるもん。

――出来ないことは出来ないと言えるようになった。

C:大分ね。

――全部出来るわけないもんね。フルタイムで働いてて、例えば(子供の)PTAの役員とか出来ないのは仕方ないと思うんだけど。

C:でもさ、「働いてるから」っていう理由が今は通らないんだよね。みんな働いてるもん。働いてない人の方が何人かしかいなくって、そういう人は赤ちゃんがいて手が離れないとか、だから働いてないんだって。だから働いてるから出来ないっていうのは通じなくなってきてて、最後はあみだくじ。

家庭では、私の代わりはいないんだなあっていうのは思った。

――仕事を始めてあらためて気付いたことについて。

C:お金をもらうのって大変だなって。

――それは、どの職業でもそうだけどね。まあ、でも仕事内容の割には……、もっともらえてもいいんじゃないって思うよね、看護師さんって。

C:あと、そうだね、他の仕事でもそうだと思うけど、自分の代わりは職場ではたくさんいるじゃない。
私が休んで、周りは大変だとは思うけど、でもなんとか回っていくでしょ。
でも家庭では、私の代わりはいないんだなあっていうのは思った
だから具合が悪くっても、働きに行って、ずっとやってたけど、でも結局具合が悪くなって、今みたいに全然働けなくなっちゃって、休んじゃってても、仕事は回っていくじゃない。

――そうだよね……。

C:だから、具合が悪いときに「具合が悪い」って言えればよかったのに、って。こんなに悪くなっちゃう前に。

――今は、前に言ってた病気? 痛いっていう。

C:それもまだ治らないし、甲状腺の代謝異常、機能の低下症のほうも。
自分の甲状腺ホルモンを壊しちゃうから、その分飲むの。
飲むんだけど更に壊しちゃうので、結構頑張って飲んでないと下がってきちゃうの。
その病気を治す薬はないの。だから足りない分を補うだけ。
ただその病気はデータが安定すれば、働けないことはないの。
問題は痛くなっちゃうほうで、いつ痛くなるのか読めないから、どちらかといえば、夕方とか夜、疲れたときなんだけど、いつ痛くなるのかわかんない。
例えば眠くてうとうとしているときとか、突然ガッと痛くなることがあるから。仕事中とかも同じ姿勢でいるとダメだったりしたから。

――なんていう病気だっけ。

C:“線維筋痛症”

――ストレスでなるの?

C:原因はわからないんだけど、長期に渡るストレスが原因だと思われるって。
この病気も、甲状腺の病気も、他の自己免疫疾患を併発する可能性が高いみたいで、この白くなっちゃう(尋常性白斑)のもそうなのね。
どの病気が先にくるかわからないけど、これらの病気はダブることが多いみたいで。

――(尋常性白斑が)出たのは何年も前だよね。

C:もう、その頃でたぶん、限界だったんだよね。

――だってすごく頑張ってたもんね、あの頃から。でももう目立たなくなったよね。

C:大分ね。
漢方薬を飲んでて、先生に「たま~に治る人がいる」って言われて。薬が効いたんじゃないかって。

――マイケル・ジャクソンも同じ病気だった?

C:そうそう。

――今後の抱負について。

C:元気になりたいけど、とりあえず看護師が出来なくなってもいいように(笑)、今は医療事務の資格をとろうと思って。

――難しいの?

C:結構、細かいの。

――細かいの得意そうじゃない。

C:好きなんだけど、飲んでる薬の影響で記憶力が落ちるんだよね。

自分が元気じゃないと、人が弱ってる面倒をみれない。

――看護師さんを目指す人へのアドバイスは?

C:仕事をしながら、体力作り。

――やっぱり体力がないと、出来ない仕事。

C:結構みんな具合が悪いっていいながら働いてる。

――具合が悪くても出来る仕事じゃないでしょう?

C:自分が元気じゃないと、人が弱ってる面倒をみれない。
病気の痛みをわかるには、自分も病気になったほうがいいって思うんだけど、例えば入院したことがあって、看護師さんを呼んだのに来ない、その待ってる時間の長さを知ってるからこそ、自分が呼ばれたらサッと行ってあげるっていうのはあると思うのね。
でも人をみるためには、自分が健康じゃなくちゃいけないんだなあって。
何度もナースコールを鳴らしてくる人は不安なの。
なにかが不安で、いろんな訴えになってくるんだけど、その不安を取り除いてあげないと、たぶんナースコールは鳴り続けるんだよね。
じっくり座って、話を聞いてあげて、本当はなにがして欲しいのかを探り当てないと。

――カウンセラー的な感じだよね。

C:そうだね。
マニュアル通りにやっておしまいっていうわけにはいかない。
ちょっと遠回りしても、時間かけて話を聞くと、実は全然違う不安があったりして。

――体力もいるけど、心も遣う仕事なんだね。

C:そうだね。

(2010年9月23日)

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久しぶりに会い、ランチを食べながらのインタビューでした。

Cちゃん、ありがとう。

今までも話は聞いていたけど、あらためてCちゃんの仕事に対する、また生きていくことに対する真摯な気持ちが伝わってきて感動しました。
Cちゃんの友達でいられることを誇らしく思います。

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ライター・校閲、メンタル心理カウンセラー、ムビラ弾き♪
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