小尾羊(シャオウェイヤン)綾瀬店 店長:ヨシさん

蒙古薬膳(モンゴルやくぜん)しゃぶしゃぶ
小尾羊(シャオウェイヤン)」綾瀬店
東京都足立区綾瀬4-6-12
綾瀬駅 西口 徒歩1分
http://r.gnavi.co.jp/e455600/

店長のヨシさんにインタビューしました。
とってもお人柄のいい、ステキな店長さんです。
(ちなみに私もお店に食べに行ったことがあります)


以前、TV出演されたときのヨシさんです。

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お客様と直接対話ができる商売がしたかった

――このお仕事を始めたきっかけについてお聞きしたいのですが。

ヨシさん(以下、Y):学校を出てから25年間くらいサラリーマンをやっていました。
その頃から、何か商売をやりたいという気持ちがあったんです。それといつかは自分の夢として、仕事をどこかの地点で辞めて、旅に出たいというのがありました。

45歳の時にそのタイミングがやってきて、会社を辞めて、国内と海外合わせて3年間旅をしました。(国内1年間、海外2年間)
それが終わって2008年5月に日本に戻ってきて、これで心置きなく次のことができるということで、前から思っていた商売をやろうと思ったわけです。
いろいろ考えたんですけど、元々客商売に興味があって、お客さんと直接対話ができるような仕事をやりたいっていう気持ちが強かったんです。
いくつか候補があったんですが、ラーメン屋かマッサージ屋かと思いまして、街に出て現状を見て回りました。
まずラーメン屋。ラーメン屋って、私が旅に出る前、2005年くらいは、ラーメン屋がたくさんでてきて競争をしているっていう感じだったんですが、旅を終えて帰ってきてみたら、その競争の時代は終わって、競争に勝ち残った人たちが、店の数を増やしているという成熟の時代にきていたんです。
どこの店も内装から味からサービスから、すごく完成度が高い店だけが生き残っている感じだったんです。で、ラーメン屋はちょっと難しいんじゃないかと思いました。
次にマッサージ、これがまた、ものすごい数がありますよね。

――そうですね、たくさんありますね、なんとか式とか。

Y:元々マッサージという言葉は、資格がないと使えないそうなんです。
ちゃんと学校に行って、2年間かな、専門学校にちゃんと行って、国家試験を受けて、受かった人だけが使える、按摩とかマッサージという言葉ですね、でも、リラクゼーションや癒し処とかは、なにもいらないんですよ。

――あ、そうなんですか。

Y:だから誰でもできるんです。グレーゾーンなんですけどね、今、そのへんのところが。

フランチャイズ・ショーで目にとまった「火鍋」

Y:スーパー銭湯に行っても、街中でも、マッサージは5分でも10分でもできるようなところがいっぱいあって、これももう今から急に始めたところで前途は多難だなと思いました。
ちょうどそんな時、フランチャイズ・ショーというのがありまして。
フランチャイズっていうのは、本部があって、個人で商売をしたいと思ったら、まず加盟するんです。
例えばコンビニだったらコンビニの、その本部に、まず加盟金というのを払って加盟すると、店舗の場所とか、店の経営、運営に関わる全てのノウハウを提供してくれるというというのが、フランチャイズシステムっていうものなんですね。
その代わり、その店のオーナーは本部に対して、毎月ロイヤリティーを払わないといけないんです。

――誰でもできるんですか? 試験があるわけではなく?

Y:誰でもできるんです。試験はありません。

――お金さえ払えば?

Y:そう、あとは自分にやる気さえあれば。
そういうフランチャイズの本部が集まったショーがあって、見にいってみたんです。
いろんなものがあるんですよ。おすし屋さん、ピザ屋さん、弁当屋さんとか。もちろんラーメン屋もマッサージ屋も。
そのとき、ふっと目にとまったものがあったんです。「鍋」なんです、「火鍋」。
ひとつの鍋が3つに分かれていて、赤と白と茶色のスープがそこに入っているんです。
実は世界旅行をしているときに中国を1ヶ月くらいまわったんですが、そのときに中国のあちこちで火鍋を食べたんです。
地方によって味が違って、四川火鍋だと激辛とか、重慶火鍋だと魚入れたりとか、辛さとか味もバラバラで、すごく奥が深いなあっていうのを覚えていたんです。
たまたまそこで「火鍋のフランチャイズがあるんだ」って知って、話を聞いたんです。そしたら、
「まずはとにかく味見をしてみてくれ」
と言われて、早速次の日、フランチャイズ店に行って味見をさせてもらったんです。スープを飲んでみたら、これがおいしいんですよ。
「これがホントに自分でできるんだったら、いけるかもしれない」
と思ったんです。
でもその時は話だけ聞いて、頭の中にとどめました。
なんでかというと、規模がちょっと自分には大きすぎるかなって思ったんです。最初は自分と1人か2人でできるくらいの規模と考えていたんですが、火鍋の店っていうと、どうしてもある程度の大きさになっちゃうので。
それからまたラーメン業界、マッサージ業界を見て、ああ、どうしようってなったときに、火鍋が蘇ってきたんです。
今度は本部の方に行って話を聞いてみたり、実際にフランチャイズに加盟して、お店を開いているオーナーの人とも会って話を聞いたりしました。
だんだんその気になってきまして。なによりも自分がおいしいと感じられたのが一番の決め手だったんですね。

――やっぱり自分がいいと思わないと。

Y:そうそう、自分が自信が持てないものを提供できないですからね。

スープは3種類選べるので薬膳嫌いの方と来ても大丈夫

――モンゴルの火鍋っていうのは、チェーン店は全部モンゴルなんですか?

Y:そうです。元々、火鍋っていうのは、モンゴルが発祥の地だそうなんです。

――中国ではなく?

Y:モンゴル民族は、中国の中の内モンゴル自治区と、あと朝青龍がいるモンゴルっていう国をまたいで住んでるんです。
うちのチェーン店のは中国側の内モンゴル自治区に住むモンゴル民族が食べていた料理で、ここで始まった火鍋が、中国のアチコチに飛び火して、各地のご当地鍋ができたんですね。で、もっとそれが発展して、薬膳が入った薬膳火鍋っていうのができたんですよ。

――最初に聞いたとき、モンゴルの薬膳の鍋ってどんなのだろうって、薬っぽいのかな、とか。食べてみると、そんなに薬っぽくはないですよね。

Y:そうですね。薬膳っていうものに興味があったり、いいイメージを持っている方は、余計興味をそそられるんですね。薬膳の火鍋ってどんなのだろうって。
逆に、男性は特にそうなんですけど、薬っぽいもの、漢方薬ヤダとおっしゃる方もいるんです。
大体そういう方の場合は、奥さんが来たいから一緒に来てって言われて最初は付き合いで来て頂くんですけど、実際食べてみると「思ったほど薬って感じじゃないし、これだったら食べられる」って方が多いですね。

――身体によさそうですしね。

Y:ただ実際、薬膳がいっぱい入ってるものですから、ちょっと朝鮮人参っぽい味がしたりとか、そういうのが本当に苦手な方がいるんですよ。だから最近は薬膳が入ってないスープも用意しています。
スープは3種類選べますから、薬膳好きな人は薬膳のスープ、薬膳が嫌いな人のためにひとつスープをキープして、それを食べてもらうっていう、それぞれの方が満足できるような組み合わせができるようになっています。

――私が印象に残っているのは辛いスープです。一緒のテーブルになった人たちと「これ、おいしいね」って食べてました。

Y:うちは今7種類スープがあるんですけど、その中で辛いスープが2種類あるんですよ。赤くて辛いスープと緑色の辛いスープとあるんです。

――赤いスープでした。

Y:まさしくそれ、ラー油の赤ですね。表面を全部、ラー油が覆ってるんです。薬膳がとてもたくさん入ったスープです。

――私は辛党なので、あれだけの鍋でもいいかなと思いました。3種類ではなく1種類だけの鍋もあるんですか?

Y:あります。2種類のもあるし、1種類のもあります。

常に喜んでもらえることを考えています

――この商売を始めて、あらためて気付いたことはありますか?

Y:自分が客商売が好きだとよくわかりました。
お客さんがお料理を食べて「おいしい」って喜んでもらえるのを直接みることができるので、それはとても嬉しいです。
同じスープじゃ飽きちゃうんで、新しいスープを作ったり、そうしながら続けて来ていただけるようにしています。常連さんも少しずつ増えてきまして。

――仕事で、家庭で疲れて、入ったお店の、店員さんの笑顔に触れただけで救われた気になることってあると思うんです。こちらのお店は、ここに来てよかったって思えるお店のひとつだと思います。

Y:お客様にはお料理を提供するだけじゃないと思ってるんで、どうやったらサービスになるんだろう、どうやったら喜んでもらえるんだろう、リラックスしてもらえるんだろう、そういうことは常に考えてますね。

――お料理がおいしくて、お店の雰囲気が良くて、お店の店員さんたちがいいと、もう最強ですよね。

Y:最強を目指したいですね。

オープンの日の忘れられない失敗談

――失敗談はありますか?

Y:2009年の2月25日にオープンしたんですが、最初の頃は失敗の連続でしたね。
オープンの日のことは今でも覚えていますね。まだスタッフも慣れてないし、急に忙しくなっても困ると思って、大きな宣伝もしてなかったんですよ。
でもオープン初日にはすごくたくさんのお客様に来ていただきまして、それはありがたいことだったんですが、とにかくホールのオペレーションがぐちゃぐちゃ状態で、料理の順番はおろか、頼んだものが出てこないとか、飲み物が出てこないとか。
出てきた料理を見てみたら……、海鮮盛りというのがあって、海鮮が氷の上に載っているんですが、その氷が載った入れ物っていうのがスノコみたいになっていて、下に水が落ちるようになっていたんですよ。
ところがスタッフもそこまで気付いていなくて、下にお皿もなにも置かずに、そのままお客さんのところに持っていっちゃったんです。
食べているうちに氷が溶けて、どんどんテーブルが水浸しになってしまって。そんなことがアチコチのテーブルで同時多発的に起こってしまって。
最初にもっと形作る期間があったら、一週間でもあったらよかったんですが。

――(オープンは)急だったんですか?

Y:すっごく急でした。今思うと、あれは大失敗でしたね。

お見送りを心がけています

――では、嬉しかったことはありますか?

Y:飲食店の情報サイトに口コミが投稿できるようになってますよね。
オープンして、やっとバタバタ状態からも抜けて、さあこれからってときに、だんだん(季節的に)暖かくなってきて、お客さんが減ってきたんです。
日本人の感覚として、夏には冷たいものを食べるっていうのがありますよね。
それで夏になったら客足がガガガガガッと落ちてきちゃったんです。
「このままどんどん落ちて、消えてなくなっちゃうんじゃないか」
くらいの感じで、かなり落ち込んでたんです。
そんなときに、ひとつの口コミを載せてくれたお客さんがいたんですよ。どんな口コミだったかっていうと、元々火鍋が好きな方で、鍋を食べ歩いているような方なんですね。
まず、うちの火鍋の味をすごく気に入ってくれたんですよ。
『火鍋自体の味も良かったんですけど、何よりも良かったのは、スタッフの対応がすごく良かった』
って。
私、心がけているのは、食事終わってお帰りになるときに外に出て見送りをすることなんです。忙しくて出来ないときもあるんですが。その方は、それをすごく喜んでくれて、
『最後まで見送ってくれたんで感激しました』
って書いてくれて、ここまで喜んでくれるお客さんがいるんだって思って、ホンットに嬉しかったです。
で、それを書いてくれた方がわかったんですよ。
それから常連になって、週一回は必ず来てくださるんですけど、多いと2回とか3回とかいうときもあるんです。1日おきみたいな。

――このお店が大好きになっちゃったんですね。

Y:ホントに体調が良くなるんです、って。体調がすぐれないときもあったらしいんですが、食べると体調が良くなるって。昨日も来てくださったんですよ。
その方があるとき何気なく、
「この前、口コミに入れましたよ」
って言ってくださったんですね。
「ああ、この方だったんだ」
っていうのが、それでわかって。ホントに嬉しかったですね。

――確かに、前に来たときもお見送りをしていただきました。

Y:いや、あれは大切なことだと思います。

「人を育てる」のは、とても大切なこと

――では、今後の抱負について。

Y:まずはこの店をもっと繁盛する店にしたいです。
この店がうまく軌道に乗ったら、ぜひ、もう1店舗出したいという気持ちはありますね。
そのためにやっぱり「人を育てる」っていうことですね。私のお客さんに対するサービスの仕方などを身につけて、引き継いでくれるように。
今、スタッフって、中国人の学生のアルバイトさんが多いんですよ。彼ら、すごく仕事を一生懸命やってくれるんです。それはいいんですけど、やはり日本と中国の習慣の違いってあるじゃないですか。
そうすると彼らは、自分たちはこうすればいいだろうという気持ちでやってくれるんですけど、どうしても習慣の違いで、日本人のお客さんには必ずしもいいサービスにならない場合もあるんですね。言葉遣いもそうですが。
できれば私と同じくらいのレベルまで、サービスをやって欲しいと思います。
そういった「人を育てる」っていうのは、とても大切なことだと思います。

自分がなにをしたいのか、最初は漠然としたものでもいい

――同じように起業を目指す人へのアドバイスはありますか?

Y:目標を持つっていうのが、とても大切なことだと思います。
自分はなにをやりたいのかっていうことですね。
私、サラリーマンをやっていた頃には、毎日が自然に過ぎていくような生活を送ってましたけれど、その頃でも将来はサラリーマンを辞めて、自分で何かやりたいっていう気持ちがあったし、そういう気持ちがあると、じゃあ、なにをやろうかって、いろいろ考えたりすると思うし。
ずっとサラリーマンやりたいっていうのなら、それはそれでいいかもしれないですけど、たぶんそうではない方が、興味を持ってブログを見てくださる方もいるんでしょうね。
そういう人は、まず自分がなにをしたいのか、最初は漠然としたものでもいいと思うんです。そこからだんだんそれを具体化していって、じゃあなにをするか、いつ頃するのか、タイミングもすごく大切です。
例えば私が旅に出るっていうのも、そのやり方だったんですよ。
最初は漠然と、いつかは旅に出たいって思っていて、30代の頃には50歳になったら行こうと思っていたんです。
ところが40代になったら、感じが変わってきたんですよ。やっぱり肉体って衰えるじゃないですか。
このまま50代になったら、自分がやりたいような旅が出来ないんじゃないかって。
自分がやりたい旅っていうのは、例えば山に登りたかったら山に登る、海に潜りたかったら海に潜るっていうような、結構身体が資本みたいな旅だったんです。

――(海外は)世界を一周っていう旅だったんですか?

Y:オーストラリア大陸以外、全部。南極も。
40代になってからも仕事は続けていたんですが、45歳になったときに煮詰まってきて、周りの状況を見回したら、「今なら旅に行ける。今だよ」って思ったんです。それから早かったです。3ヵ月後くらいには旅に出てました。

――考えていたから、準備にもそんなにアタフタすることなかったんですね。

Y:準備よりも、要は、やるかどうかという決断ですね
私も中々決断ができなくて、どうしようと思って、思いついたのが、もう手当たり次第みんなに、
「俺は旅に行くぞ」
と言って回ったんです。しばらくして、
「まだ行かないの?」
って周りから言われるようになって、
「だったら行ってやろうじゃん」
って、みんなに背中を押された感じですね。

――私にとっても、参考になるお話でした。人生っていつかは終わっちゃう、やっぱりやりたいことやらなくちゃダメだなって。周りにあまり迷惑かけることはよくないけど、自分が責任とれる範囲内だったら、好きなことやらなくちゃって思います。

Y:あとでやればよかったって思うくらいだったら、やっちゃったほうがいいですよ。

――そうですね、後悔するのはよくないですね。例え失敗しても恥かいてもいいから、一応やってみたほうがって思います。

Y:やりたいと思ったらね、失敗してもいいと思いますよ。

――私もがんばっていこうという気持ちになれました。

Y:よかったです。

――ありがとうございました。

(2010年9月19日)

*****************
※インタビューを終えて。

私にとって、初めてのインタビュアー体験でした。
早速、「失敗したー(><)!」と思ったのは、このインタビューの後、お腹がすいたので『野菜たっぷりタン麺』をいただいたんですね。

とってもとってもおいしくて、本当に、一口スープを飲んだとき、
「おいしい!」
って呟いてしまったのですが、その『野菜たっぷりタン麺』の写真を、食べる前に撮っておくべきでした……。

”撮ればよかった”と気付いたのも翌日になってからでした、という気のつかなさ……。
反省です。

後日、撮影! 美味しーい!!^^

こんな私のインタビューにこたえてくださったヨシさんには、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

そして、ここを読んでくださっている皆様、
モンゴル薬膳、ぜひぜひ召し上がってみてください!
 「小尾羊(シャオウェイヤン)」綾瀬店にGO! おいしいですよー。^^

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ライター・校閲、メンタル心理カウンセラー、ムビラ弾き♪
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