ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症した主人公を描くドラマが放映されている。
ドラマを観ていると、思い出す方がいる。
私がホームページを開設した頃、
知り合いのホームページを通して、私のホームページに遊びに来てくださった方がいた。
名前はnoriさん。
姪御さんのお名前が、私のハンドルネームと同じということで、
親近感を持ち、訪ねてきてくださったのだ。
noriさんはALSを患っていた。
定年まで勤め上げ、定年後、好きな音楽を楽しもうと思っていた矢先、
発症されたそうだ。
指先は動くnoriさんは、パソコンを通してたくさんの人々との交流を楽しまれていたようだ。
とても温かいお人柄で、
私にも、とってもたくさんの温かい言葉をかけてくださった。
noriさんはまた、歌を詠むことをたしなまれていた。
ある十五夜の日には、まん丸のお月様を観ながら”歌を詠む会”をネットを通して催された。
私も下手ながら、参加した。
参加者が投稿する歌を、noriさんは1つのページにまとめて、次々にネット上にアップされた。
下手な歌しか詠めない私に、noriさんは温かい言葉をかけてくださった。
「○○さん(私のハンドルネーム)の言葉には艶がありますね!」
ある春の日にも、同じようにネットを通して歌を詠む会が催された。
私も下手ながら参加した。
ネットを通してのそんな交流が続き、
ある時、久しぶりに私はnoriさんのサイトを訪れた。
忙しくて中々、挨拶にも行けなかったけれど、
「noriさん、ご無沙汰しちゃってすみません! いかがお過ごしですか?」
そんな言葉を書き込むつもりで。
ところが。
――noriさんは、亡くなられていた。
私が訪れる数か月前に。
涙が止まらなかった。
たくさんの優しさを頂いたのに、
私は何も返せなかった、
すみません、ごめんなさい、
そんな気持ちで心は満たされた。
しばらく落ち込んでいましたが、
noriさんが、こんなふうに言っている気がした。
『ちょっとは悲しんでよ。でもそんなにいつまでも悲しまないでよ』
noriさんが言いそうな言葉かな、って思った。
ネットを通して、ネット上の文字だけの交流だったけれど、
noriさんから頂いた温かさ、優しさは忘れられない。
言葉には、とっても大きなチカラがあると思う。
言葉を通して、伝わってくる心があると思う。
私も言葉を大切にして、
ここからも、心を感じられる言葉を発信していけたらと思う。
毎年、ツツジの季節になると、noriさんを思い出す。
春の歌を詠む会で、私が詠んだのが、ツツジを題材にした歌だったので。
力強くツツジが咲き誇る様子を見て、noriさんを想い、少し心が痛くなり、そして頂いた優しさに心を温かくする。
今年もツツジは力強く咲き誇るのでしょうか。
咲き誇るといいけれど。
『次々に 緑の葉の間に 咲くツツジ 在ることでうたう 生命(いのち)のチカラ』