コスメ調合室 (株)フルフリ 代表取締役 杉 拓也さん

天然素材の手作り化粧水、化粧品販売の(株)フルフリ 代表取締役 杉 拓也さんにお話を伺いました。

ホームページURL
http://www.furu-furi.com/


初めてでも簡単。混ぜて振るだけ。30秒でできる自分コスメ。

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“@cosme(アットコスメ)”でブレイクして、2位まで上がったんです。

――仕事を始めたきっかけについて。

杉さん(以下、S):マーケティングの勉強を前の会社でしていたんですが、その時やっていたのが大企業相手のお仕事だったんです。でもそういう仕事は大きすぎて実感がわかず、あまりおもしろくなかったんです。もっと、手に取れて実感が分かりやすい物を、目に見えるお客様を相手にするお仕事へ転職をしようかと思っていた時に、友人の妹(当時大学生)がちょっと変わった化粧水を発明して、4人のチームでビジネスコンテストに応募したけれど落ちてしまった、再挑戦するに当たり、社会人の先輩に手伝ってもらおうということになったらしく、友人経由で話がきたんです。
「手伝ってあげるよ」
と返事をしたら、大学生4人のチームがうちに訪ねてきました。提出日の前日に徹夜で、プレゼンをするためのビジネスプランを作って、結果、見事特別賞をとれたんです。
「よかったね、がんばってね」
と言っていたんですが、その子たちはその後、就職やバイトが忙しいという理由でやめていってしまったんです。最後に発案者の子だけが残って、
「私もやめようかなあ」
と言い出したんですが、せっかく賞もとったのに、もったいないと思って、
「僕が社長をやるから、一緒にやろうよ」
ということになったんです。

――最初にお手伝いを頼まれたのはいつですか?

S:2005年の1月です。2月にコンテストで受賞しました。しばらくサラリーマンも同時にやっていたんですが、2005年の8月に前の会社を辞めて、この仕事に専念するようになりました。その後、発案者の子も辞めてしまい、一人で放り出される形になってしまいました。前の会社は人間関係がよかったので、「いつでも帰ってこい」と声をかけて頂いたんですが、このままやっていきたいという気持ちがあったので、やってきました。
最初は全然は売れなかったんですが、2年目くらいに“@cosme(アットコスメ)”というサイトでブレイクして、2位まで上がったんです。

――すごいですね。宣伝の成果だったんですか?

S:いえ、なにもしていないです。

――口コミですか?

S:そうです。

――本当にいいものだったから、ユーザーから支持されたということですよね。

S:そうですね。それで売れるようになって、これはいけるぞと思ったんですが、今度は評価がよかったために注文がたくさんきすぎて、出荷ができなくなってしまったんです。で、お客様にお願いして口コミをやめてもらって、その間に出荷の体制を万全にしたんです。でもその時には口コミがなくなってしまっていて、注文もこなくなってしまったんです。そういうのはコントロールできないので。
一昨年は売上が下がってしまって、もう辞めようかと思うくらいだったんですが、少し盛り返してきて……、でも今でも普通にアルバイトした方が儲かるくらいです。

――今はどこも厳しいみたいですから。維持していくだけで精いっぱいというような。従業員を抱えていると、その方たちの人生もあるから大変だし。

S:その点、うちには従業員はいないですが、反面、人手がないから、できないことも多いです。

――今必要なのは、どういう人材ですか?

S:企画を考える人ですね。ゼロから、商品のアイディアを自分の頭で考えられる人。
特別な知識はいらないんです。わからないことはお客様や私に聞いてくれればいいし。企画開発を自分で考えられるという人材が、中々いないんです。

――サラリーマンの頃から、そのうち起業しようという気持ちがありましたか?

S:それほど強い気持ちはなかったです。ただ自分がいいと思わないことを我慢するというのが苦手なんですね。おもしろいことをやりたいという気持ちはありました。

お客様第一で、一緒にパートナーとしてやっていくということを心がけています。

――失敗談はありますか?

S:先ほども話しましたが、“@コスメ”での口コミを控えてくださいって言ったら、全然書いてくれなくなってしまったこと。
それと、お客様相手に言ってはいけないことを、つい本音で話してしまって、怒らせてしまったことがあります。フルフリの商品は敏感肌の人でも大丈夫(添加物ゼロ、本当にお肌に必要な成分だけで配合)というので、悪い意味ではなく神経質な方も多いんです。そういう方への対応を間違えてしまったということが以前はありました。今は大分学びました。まだまだですが。
あとは効果がない広告にお金をかけてしまったことがあります。「こんなに効果がありますよ」という謳い文句にのってしまったんですが、全く効果がありませんでした。

――心がけていることはありますか?

S:お客様とのつながりを大切に考えています。
絶対嘘はつかないことや、自分に不利なことでもお客様のメリットになることなら、きちんと伝えること、常に誠意のある対応をすること、お客様と約束したことは、時間がかかることもありますが、絶対にやるということです。そうすることでお客様との間に信頼関係が築けます。例えその時は縁がなかったとしても、覚えていてくださって、後につながっていきます。
また、お客様の意見を積極的に聞くようにしています。「新しい商品を作ろうと思っていますが、何が欲しいですか?」など。
お客様第一で、一緒にパートナーとしてやっていくということを心がけています。

――お仕事を始めて、あらためて気づいたことはありますか?

S:それまで会社員の立場しか経験したことがなかったので、雇用や、商品を提供することで社会に対して責任が出てくるということです。無責任なことはできないです。
あと、美容業界は嘘つきだなということです。本当の情報も発信されているんですが、売りたい側の情報が広告費をかけて本当の情報よりも目立つように宣伝されています。あれはエンターテイメントとしてやっているのかもしれませんが、本当にアトピーなどで悩んでいる人を騙すようなのはよくないですね。

――やっていてよかったと思うことはありますか?

S:お客様に喜んでいただけること、「これで長年の悩みがなくなった」などと、言っていただけることです。
お客様の中にはすごく気に入ってくれている方もいて、「人生が変わった」などと言ってくださって、やっていてよかったなって思います。

影響力を大きくしたい

――今後の抱負について。

S:会社を大きくすることには興味がないんですが、影響力を大きくしたいとは思っています。より多くの人に商品に触れてもらう、また良質な雇用、良質な(成分などの)仕入をしていくこと。そうすると必然的に会社が大きくなっていくのかもしれませんが。
今、発送を外部に委託しているんですが、自前の発送場を作って、訳ありの人などを雇ってやっていきたいと思っています。

――“訳あり”というのは、他では働けないといったような方ですか?

S:そうですね。今、発送のデータを作ってくれている人は前の会社の同僚なんですが、すぐに疲れてしまうという原因不明の症状が出て、会社勤めが出来なくなってしまったんです。大分回復したんですが、まだ通勤は無理だというので、自宅で3~4時間働くようにしてもらっています。楽しんでやってもらっているみたいで、よかったなって思っています。うちはそういう普通の会社では出来ない雇用もできるので。

アイディアがあるんだったら、会社に売り込みにいけばいいと思います。

――起業を目指す方へのアドバイスはありますか?

S:起業をするくらいのパワーがあれば、雇われている会社で頑張る方が楽です。今、世間にないようなことを始めたいというのなら別ですが、組織というのは素晴らしいものなので、それを活用する方がいいいですね。自分でゼロから始めるよりも、あるものを良くするという。その方がより幸せが伝わりやすいです。私は5年間やってきましたけど、幸せを伝えられた方というのは限られています。同じことを、どこかの会社内でやっていたら、もっと広まっていたかもしれません。

――社員として会社に企画を提案するということですか?

S:そうです。ただし私が以前勤めていたところは大企業相手だったので、やりたい事とは違っていましたが。

――不景気で会社を解雇になってしまった、中々再就職もできない、だったら自分で起業して、と考える方もいると思いますが、それでも起業よりは再就職を探す方がいいと思いますか?

S:アイディアがあるんだったら、起業とまではいかなくても――起業ということになるのかもしれませんが――、自分で会社を作らなくても、アイディアを持って会社に売り込みにいけばいいと思います。会社にとって人を雇うというのは大変なことなんですね。責任も発生しますし。

――アイディアを持ち込んで、仕事は自分でやるけれど、その会社の力を借りるということですか?

S:そう、場を貸してもらうとか。
大企業だと難しいかもしれませんが、社長さんと直に話せる規模の会社だったら、やってくれるところはあると思います。

――アイディアだけあっても、バッググラウンドがないと、どこに行っても相手にしてもらえない、だから理解してくれる会社があれば、力を貸してもらうというのはいいかもしれませんね。

S:またはそこの会社の商品を営業代行として売るとか。

――なるほど。私にとっても、いいアドバイスになりました。

S:小さい会社は人材が足りなくて、アイディアが欲しいという場合が多いんです。なので、会社を作ることを考える前に、そういう売り込みをやってみるのもいいと思います。

(2011年3月11日)

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このインタビューの途中、東北地方太平洋沖地震が発生しました。
体験したことがない激しい揺れでしたが、まさかこれほどの大災害になっているとは、自宅でテレビを観るまで知りませんでした。

今までの意識を変えていくことが必要なのかもしれないし、
ひとりひとりができることをやっていくしかないようにも思います。

今回、インタビューにこたえて頂いた杉さんは、被災地にも行き、復興活動もなさっているそうです。
コスメ調合室と共に、今後の益々のご活躍に期待しています。

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